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湯滝のさき

  • あんぽんたん姫
  • 2019年6月1日
  • 読了時間: 1分

湯瀧のさき、十五町ほど湖畔の道を、戦場ヶ原を一眸の下に眺められるあたりまで、道々花を摘みながら、ゆっくりと歩いた。原一面薄紫色に煙ってゐた。何と云ふ美しい眺めだらう。十八九年前の思ひでから、自分は夕闇の迫って来るのも忘れて、しばらく立ってゐた。湖水の暗い色は、冷たい戦慄を傳へた。 葛西善蔵『湖畔手記』より

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